※タイトル設定間違いにつき再送失礼いたします・先ほど送信したメルマガと同内容です
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【ガリレオを疑え】
〜存在文の ‘there’の発音について〜 |
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先ほど送信したメルマガのタイトル設定が間違っていましたので再送しますm(_ _)m ※内容は同じものになります。
存在文の thereの発音は「theと同じ」だけじゃなかった!?
"There構文"という文法用語を何の考えもなく垂れ流している教員を「ハズレ」と弾劾した動画の内容に関して、SCEPをきっかけに新たに学んだ言語事実をもとに情報を改め、再考を行っています。【ガリレオ流・知的謙遜】記事、どうぞお楽しみください♪
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上の議論は、存在文 (There構文)の thereには強勢が置かれず /ðə(r)/と発音されるという言語事実に基づいている。従って、イギリス英語などの non-rhotic variety of Englishでは、定冠詞 theと同じ発音となる。(参考:『英語とはどんな言語か より深く英語を知るために』, 安井稔, 2014, 開拓社, p. 28)
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すなわち、色々な意味で「ゼア」ではないにしても、日本語の「エ」よりも大きく口を開いた「エー」というはっきりした母音の音価で、存在文の thereが発音される場合があるということらしい。
また確かに、
Longman Pronunciation Dictionaryを改めて調べてみたところ、存在文の thereの発音について以下のような記述が確認できた:
Some speakers hardly use the weak form, even though the word is never stressed.
文強勢こそ決して置かれないが、弱形(ガリレオ注: /ðə(r)/)をほぼ用いない話者もいる。【ガリレオ訳】
実に興味深い内容なので、Inger Mees先生 (上の本の著者の一人であり、今夏ガリレオが参加した UCLの SCEP: Summer Course in English Phoneticsでの practical groupでお世話になった)に直接メールを出して質問をしてみた。その回答をまとめると、以下のようなことであった:
・どちらの発音も耳にすることはあり、明確なルールに基づく使い分けがなされているわけではなく、個人的な発音の習慣によるところが大きい。
・同じ話者でも、より早く話す時ほど母音はあいまいになりやすい。
・より重要なことは、縮約形 (there's/there're)を用いることであり、会話において縮約しない形 (there is / there are)を用いるのは英語学習者の典型的な間違い。
つまり結論としては、存在文の there's/there'reは①文強勢を置かないこと・②(会話では)縮約形を用いることがより重要なポイントであり、母音の音価は /ə/と/ɛː/の間で変動しうるということになる。
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以上の言語事実を踏まえて、改めて "There構文"という文法用語について検討してみるが、やはりガリレオの意見としては「存在文」の方がより好ましいという立場を保ちたい。
まず理由の1点目としては、存在文の thereで SQUARE vowel /ɛː/を用いる話者が存在するという事実はあるにしても、平均的な英語学習者にとって problem spotとなりうるのは、あいまい母音 /ə/が用いられた場合であり、発音・リスニングのポイントとして重点的に指導すべき内容であることには変わりないということ。
第2に、縮約形を用いることへの意識を高めるにあたり、明らかに thereと be動詞を区切っている "There構文"という表現ではマイナスの影響が考えられるということ。(だからと言って「存在文」という用語が縮約形への意識づけにプラスの効果を期待できるわけではないが、文法用語の刷り込み効果は無視できない。すなわち、普段から "There構文"と呼んでいて、いざ英語で話すときに "There's/There're"などの縮約形が自然と学習者の口をついて出てくるとは考えにくいであろう。)
面白いのは、執筆時点で「ハズレ教員〜」の授業動画には19の低評価がついていながら、ここまでの議論のような言語事実を示した上で建設的な反論コメントを送ってきた者は皆無。つまり、そういうことなのですね(笑)。YouTubeチャンネル、またこちらの noteでもそうですが、ガリレオ研究室が発信する情報のコメント欄は【学会発表の質疑応答として成立する内容】を承認基準として定め、内容の理解や議論を深めるためのコメントであれば、建設的反論も含めて歓迎しています。動かぬ証拠を突きつけ、地球は平らであると証明して見せるがよい。
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