みんなには、ウィニー・ザ・プー、または、もっと簡単にプーって名前で知られているティディベアくんは、ある日、満足げに鼻歌を歌いながら、森の中を歩いていました。ちょうどその朝に、ちょっとした歌ができあがったんだ。鏡の前で、いつもの「ふとり体操」をしていたときにね。できるところまでグ〜ッと背伸びをながら、「チャ・ラッ・ラー、チャ・ラッ・ラー」、次に前にかがんで、つま先にタッチしようとして、「チャ・ラッ・ラー、チャ・ラッ…アッ、アイタッ…ター!」って、やってたんだよ。朝ごはんのあと、プーはひとりでなんどもなんども歌っていたから、もうすっかり覚えられたんだね。だから今、はじめから終わりまで、まちがえずにちゃんと歌っていたのさ。こんなふうにね:
チャ・ラッ・ラー、チャ・ラッ・ラー、
チャ・ラッ・ラー、チャ・ラッ・ラー、
ラム・タム・ティードゥー・ラム・タム。
ティードゥー・リィードゥー、ティードゥー・リィードゥー、
ティードゥー・リィードゥー、ティードゥー・リィードゥー、
ラム・タム・タム・ティードゥー・ラム。
さてと、プーは、この歌をひとりで歌って、「他のみんなは何をしているのかなぁ?」「他のだれかになれたら、どんな気分かなぁ?」なんて考えながら、楽しそうに歩いていたんだけど、とつぜん、砂の土手のところに出くわしたんだ。そして、その土手には、大きな穴が空いていたんだよ。
「あぁ!」とプーは言いました。(ラム・タム・ティードゥー・ラム・タム♪)「もしぼくが、なにかのなにかをわかっているとしたらね、ここに穴があるのは、ラビットがいるってことだ。それで、ラビットは『おともだち』で、」って話し続けて、「おともだちってことは、『食べもの』とか『ぼくの歌をきいてくれる』とか、そういったことだよね。ラム・タム・タム・ティードゥー・ラム♪」
そうして、プーはしゃがんで、頭を穴の中につっこむと、呼びかけてみたんだ。
「誰かいますかぁ?」
急に「サッ彡」て音が穴の中から聞こえてきたんだけど、そのあとはシーンとなりました。
「『誰かいますかぁ?』って言ったんですけどぉ!」と、プーはとっても大きな声で聞いてみました。
「いないよ!」という声がして、そしてそれから、「そんなに大きな声で怒鳴らなくったっていいってもんだ。最初っから、ちゃあんと聞こえてるんだからな。」
「もう!」と声をあげてから、プーは「ほんとに、ここには、ぜんぜんだぁ〜れもいないんですかぁ?」って聞いてみた。
「だぁ〜れも。」
ウィニー・ザ・プーは、穴から頭を抜いて、しばらく考えてみてから、こんなふうに思ったんだ。「だれかがいるに決まってるよ。だって、だれかが『だぁ〜れも。』って言ったはずだもん。」だから、プーはまた頭を穴の中に入れて、「やぁ、ラビット、きみじゃないの?」って言ってみました。
「いいや」と、今度はまた違った感じの声で、ラビットが答えました。
「でも、ラビットの声だよね?」
「そうは思わんよ。」と、ラビットは答えます。「そんなつもりじゃないからな。」
「う〜ん」と、プーは言いました。
穴から頭を抜いて、プーはもう1回考えてみました。そして、また頭を戻して、
「えっと、じゃあ、すみませんけど、ラビットがどこにいるか、教えてくださいませんか?」
「友だちの、クマのプーに会いに出かけてったよ。大の親友でね…」
「だけど、ここにいるのが、ぼくですよ!」プーはとっても驚いて言いました。
「どんな『ぼく』なんだ?」
「クマのプーです。」
「それ、本当かい?」と、ラビットは、もっと驚いて言いました。
「ほんとに本当。」
「おぉ、えーっと、それなら、入ってこいよ。」
※拙訳;本記事掲載の訳は、推敲の上、加筆修正を施す可能性があります。 |