まとめ
ことのほか、当初の発音に関する疑問以上に文法のポイントとして興味深い情報が得られたわけだが、今回のポイントをまとめると以下の通りになる:
(1) “there are a (lot of ~)”の発音は、律儀に/ðərərə/と言うことは当然あるとして、最初のあいまい母音/ə/を引き延ばすことで/rə/を1回に減らす省エネ ver.の/ðəːrə/も可能。
(2) 縮約形の there’sを用いて “there's (a lot of / many) 複数形名詞”のような表現が(日常会話のインフォーマルなスタイルでは)使える。
特に (2)について、言語現象には必ず理由がある。“there’s + 複数形”を英語ネイティヴが使うからといって、それは「文法なんか適当でいい」のでは決してなく、この現象の背後には、縮約形だからこそ単/複の意識が上りにくいという、言って見ればより高度な文法の支えがあるのである。