2019.9 (Sep 2019)
ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.21
【駆け抜けた葉月】
日本の夏を過ごすのは、ヨーロッパに渡って以来8年ぶり。蒸し暑さとの戦いでもあった8月は、公開と非公開を合わせて10公演以上もの演奏の機会に恵まれ、忙しくも充実した時間となりました。いただいた沢山のご縁に感謝しております。
葉月のコンサートは、實川風さん(pf)とのデュオから始まりました。メインに据えたのは、ブラームスが友人の相次ぐ訃報に触れた後に書き上げた「ヴァイオリン・ソナタ第3番」。曲が生まれた地、スイスのトゥーン湖を7月に訪れ、孤独や悲しみ、不安が込められた作品のイメージを膨らませて臨んだ初挑戦でした。
息つく暇なく駆け抜けた1カ月で特に印象深かったのは、京都の能舞台でのコンサートです。橋掛かりから舞台上に進み入ると、ピリリと張り詰めた神聖な空気を感じ、一気に身が引き締まります。香しい檜造りの会場が弦楽器の音を豊かに響かせ、心地の良い音響空間でした。
先月はレコーディングも行いました。チェリスト内田麒麟さんの新曲「弦楽四重奏」は、どのパートも非常